流浪の月 凪良ゆう

小説

映画も公開された「流浪の月」を昨日、読了しました。大体のあらすじや感想を覚えている範囲で書き留めておきたいと思います。忙しい人はこれだけ読めばOKというくらいにまとめてます。ネタバレありです。
ご参考になれば幸いです。

登場人物

  1. 家内 更紗(かない さらさ)…不幸な生い立ちが故に、本当の自分をさらけ出すことができずに生活する女性ファミレス従業員。
  2. 佐伯 文(さえき ふみ)…母親の厳しい教育の下で育つ。夜の時間帯のみ営業しているカフェ「calico」の店主。
  3. 中瀬 亮(なかせ りょう)…更紗の恋人。幼少期に両親が離婚し、父親と生活してきた。更紗への異常な独占欲がある。
  4. 谷 あゆみ(たに あゆみ)…文の恋人。文が通院していた病院で知り合い、交際。記者として働いている。
  5. 安西 梨花(やすにし りか)…更紗の働くファミレスのシングルマザーの同僚の娘。更紗になつくが、母親の愛情を欲している。

あらすじ

 

 女子小学生の更紗は公務員の父親と自由放任な母親とともに、何不自由なく暮らしていた。

 だが、父親が病気で他界。その後、窮屈な生活が嫌いで、荷物を持つもの嫌だいう母親は、交際相手を作り蒸発してしまう。

 更紗は親戚の家へ引っ越す。そこには、叔父と叔母、そして年上の従兄がおり、今までの生活とは打って変わったような居心地の悪い生活へと変化した。

 この年上の従兄は、更紗の風呂を覗いたり、夜中に更紗の寝室へ行き、毎晩のように更紗の身体をまさぐっていた。いわゆる性的虐待である。

 そんな生活の限界を感じていた更紗は、家に帰りたくがないために、友達と遊んだあとも、一人公園で時間を潰していた。

 その公園には、いつも女児が遊んでいるのを食い入るように見ている「ロリコン」と呼ばれている若い男がいた。

 ある雨の日、いつものように帰宅を渋っている更紗の前に、その「ロリコン」男が「帰らないの?うちに来る?」と声をかけてきた。

 人生に絶望を感じ、家に帰りたくなかった更紗は、自分の意志でその男の家に行くことにした。

 その男の名前は佐伯 文。大学生であり華奢な体格であった。

 ロリコンと噂されるが全くそういった素振りはなく、母親に厳しく躾けられたため、部屋は隅々まできれいであり、食事も教科書のようなバランスのとれたものであった。

 更紗は、叔父の家にいるよりも、文の家にいる方がよいと思い、自分の意志で家に帰ることをやめ、文も帰るようには言わなかった。

 きっちりとした性格の文に対し、自由放任の更紗。文は自分の知らない世界と繋がっている感覚に、少し戸惑うも次第に馴染んでいった。

 やがて、更紗は誘拐されたと思われ、テレビのニュースで取り出たされるようになる。

 そんな生活が長続きするはずもなく、気が緩んだ2人は動物園に行き、そこで通報される。

 更紗を絶望の淵から救った文は「誘拐犯の男」として、自らの意志で家出をし、自由な環境を手にした更紗は「被害者の女児」。

 世間から見える二人の関係性は、全く違うものであることは、当事者同士しか知らないのである。

 成人し、自立した更紗は紆余曲折あったものの、交際相手の中瀬 亮と同棲し、ファミレスのパート従業員として生活していた。

 過去の自分は、ネット検索すればすぐにバレることもあり、ある程度の距離は保つ性格となった。

 更紗は今まで自分が被害者の女児であり、「かわいそうな子」と思われていることに関し、否定をしてきたが、「ストックホルム症候群」と勘違いされてきたために、亮に対しても、事件のことに関し否定することをやめていた。

 ある程度の距離を保っていたファミレス仲間からの、飲みの誘いを断れずに参加した2次会。夜の時間帯しかやっていないカフェへ。そこで、更紗は店主として働く文と再会する。

 文は昔と全く変わってなく、華奢で几帳面で優しいままであった。

 が、大人の女性である谷 あゆみと交際中であった。

 ロリコンである文が成人女性と交際していることに違和感を感じるも、文に再会できた喜びで、半ストーカーのような行動により、住所を特定する。

 その頃、亮との関係が上手くいっていなかった更紗は、「好き」とは違う文への感情もあり、別れを切り出す。すると、タガが外れたように殴る・蹴るのDVが始まった。

 身の危険を感じた更紗は、引っ越しを決意。不動産会社へ行き、文に隣へ引っ越す。

 夜逃げ業者をシングルマザーであり、パート従業員の友人から紹介してもらい、引っ越しは成功する。

 文にバレにないように生活するも、案の定バレてしまう。

 そこで、文もあゆみとは上手くいかないだろう的な話をされる。更紗は、ロリコンだからしょうがないかと思うのである。

 夜逃げ業者の手配をしてくれた友人から、彼氏と旅行へ行きたいから娘である安西 梨花を預かって欲しいとの依頼を受けて、文と更紗と梨花は3人で短い間であるが生活をする。

 しかし、梨花の母親が中々帰って来ず、連絡もつかない。さらには、あゆみにまで隣に越してきたことがバレ、亮も引っ越し先に来て、また暴力を振るうなど、いざこざが重なってしまう。

 とうとう、警察が出てくるまでの騒動となり、3人での生活は幕を閉じた。

 警察所での事情聴取の際、名前や生年月日を答えるだけで、いろいろと情報が出てくる。

 それは、幼少期の「被害者の女児」である更紗の過去である。

 警察から「君は本当の佐伯 文のことを知らないんだね」的な発言を耳にする。

 更紗と同じく事情聴取を受けていた文も解放され、文は本当の自分を語り始める。

 

 佐伯 文は教育熱心な母親に育てられた。兄は何でもできる期待の息子。しかし、自分は全てにおいて劣っている。

 また、母親は植物を育てる時も、生育が遅く、軟弱であるものは、成長途上であろうが引っこ抜き、捨ててしまう。

 そんな弱肉強食主義な母親に育てられたのである。

 自分が周囲と比べて何か変だなと感じたのは、同級生と比べ、自分がずっと華奢であり、なかなか自分は男性としての体つきに変化しないと気づいた時である。

 また、同級生の女子に対して、どんどん変化する体つきにも、好意を持てないでいた。

 正しく大きく成長しない自分と軟弱であるが故に引っこ抜かれた植物が、自分と重なり合って、恐怖を覚えるようになった。

 母親に対して、期待に応えられない、誰にも相談できない・・・。だんだんと内気・弱気になった文は、受験に失敗し、家を出た。

 2次性徴がない。きっとその病気だ。自身で調べていく中でそう思った文は、いっそのこと女児に興味を示してしまえば、気持ちが楽になるのではないかと考えた。

 近くの公園に行き、本を読むフリをして、女児を物色するように頑張ったが、上手くは行かなかった。

 そして、雨が降っているのにも関わらず帰ろうとしない更紗と出会ったのである。 

 動物園で捕まったあとに、身体検査とカウンセリングなどで、やはり自分は2次性徴期がない病気であることが判明した。

 釈放されたあと、地元に帰るも、母親は文に対し絶望し、母屋を改装した文専用の部屋を作る。そこは、24時間監視されていた。

 時間のあった文は様々な勉強をし、その中でコーヒーの勉強もし、カフェを出店したのであった。

 

  

 ある飲食店内。2人の複雑な関係性を理解した、少し成長した梨花が久しぶりに会いに来ていた。(※ここのシーンは本編の冒頭につながります)

 文と更紗はお互いを全て知り合い、理解し合い、共に暮らすようになった。ただ、そこには「愛」ではなく、一緒にいたいという感情。

 二人は二人の過去を知らない場所へ行き、カフェを出店していた。しかし、昔の噂が広がると客足が途絶えてしまう。

 そうなるとまた別の場所へ行き出店する、というのを繰り返していた。

 「ねぇ、今度引っ越しするならどこに住みたい?」

 「好きにすればいい。俺は付いていくだけだから」

 感想

 私個人的には、好きな小説でした。

 ただの恋愛小説とは当然違ったストーリーでしたし、文の病気が最後に判明することによって、

  • ロリコンであるにも関わらず、更紗に手を出さなかったこと
  • 文がずっと華奢であったこと
  • あゆみと上手くいかないことが、予見できたこと

 などの話、辻褄が合う展開になっていて、ある意味どんでん返し的な感じになっていたのかなと思いました。

 あらゆる事件や事故がこの世にはたくさんありますが、この小説のように当事者同士しかわからない、理解しえないものが必ずあって、それを知りえない外野がとやかく言うべきではないんだろうなとも感じました。

 映画化されているので、気になった方はぜひご覧になってください。私は原作と違うのが嫌だと思ってしまう主義なので、観るかどうか考え中です。

 最後までありがとうございました。


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